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短 歌  ノルウェー編
ノルウェー
6月2日〜3日 ベルゲン

木造の古き家並みの奥にある路地は遠き日に続ける迷路

博物館となりいるハンセン氏病院の古びて黒き木の床軋む

ハンセン病者が日々を祈りて過ごせしとう教会の祭壇黒光りする


小さく並ぶハンセン病室の枕辺に置かれしロザリオ主なく古りぬ

バイキングの裔ぞと言いて胸を張る男の太き腕の刺青

魚市場の大き声あげてよく笑う少女から赤き茹で海老を買う

北の国の午後八時まだ明るくて青空に爆ぜて花火華やぐ
6月3日 フィヨルド

フィヨルドの谷に響かう鳥の声俗世に遠くあるごとく聴く

フィヨルドの岸辺の狭き斜面にも羊を飼いて人は住みおり

動かない時を旅するごとくいる彼方に蒼く鎮まる氷河


雪消水の瀧しぶきつつ注ぐときフィヨルドは短き夏に入りぬ

岸の辺の浅きに六月の日の差せば北国の子らは水浴びており

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