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ゴムボートでバードウォッチング | |
観光船と言う名の船で野生動物探訪スタチリコフ島を遊覧する。アバチャ湾の富士山によく似た山々を見ながらの出港です。 途中からもう沢山のパフィンや多種類の海鳥が飛び交っているのが見られました。このパフィンはエトピリカと言う種類だとのこと。同じパフィンの属でもアイスランドのと違って後頭部に白い羽がついています。風がありますが、温かく、ジャケットを羽織っているだけで大丈夫でした。アバチャ湾出口の三姉妹の岩、その他岩礁の間を進んで湾を出ます。 二時間近く進んでスタリチコフ島の近くで停泊し、ここから六班に分かれてゴムボートで島のまわりを見ることになります。ゴムボートは二つなので、順番を待つ間に船から釣り糸を垂れました。初めての体験で私は駄目でしたが、かなり大きなホッケを釣り上げた人がいました。船長の夜の食事に使われるのでしょうね。 六人乗りの小さなゴムボートはなかなかの恐怖体験でした。ボートの縁に腰掛けて、張ってある綱につかまるのです。写真を撮ることは難しいです。 |
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小耳アザラシ・見えますか? | |
ここは自然保護区なので観光船は島の近くには行けないのです。凄まじい海鳥の群れです。此処では一年中いるとのことでした。冬には少しだけクリルの方に行くが、殆どがここで子育てをする留鳥だと言うのです。島は岩壁が直接海から立ち上がっていて、澄み切った夏の緑の小灌木が覆っています。幼鳥に餌を与えている様子が見られる近さまでゴムボートは近づきましたが、怖れる様子はありませんでした。 辺りに小耳アザラシがピョコピョコと首を出してくるのが見られます。アザラシは雲丹や蟹が好物で、このあたりの海底にはそれらが多いのだとガイドが言っていました。ゼイタク・・・! 船内での昼食は鮭のスープ、鮭の天ぷら、サラミ、チーズ、ソーセージ、黒パン、それにロシアビールをいただきました。 |
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アバチャ湾の三姉妹岩 | |
三姉妹の岩はアバチャ湾の象徴で、湾を守っている形で大きく海に立ちあがっています。朝は逆光でよく見えなませんでしたが、はっきりと立つのをみて帰港します。 観光ガイドのユージンはカムチャッカ大学の教育学部を卒業、メジャーは英語と日本語だそうで、ちゃんとした日本語を話しました。 彼から聞くとカムチャッカには大学が六校あってモスクワやサンクトペテルブルグからの分校もあるとのこと。ロシアの女五十歳。男五十五歳から貰う年金では、パンと水ぐらいの生活しかできないので,みんな何らかの仕事をしなければならないと言う。昨日、正教会の帰りに見たスタジアムは冬はホッケー、夏はサッカーをするとのこと。冬は雪をかいてホッケーをするのだそうだ。 冬は零下二十五度。雪は三米ほどつもる。真っ暗なときに学校に出て真っ暗なときに帰ると言う話は、アイスランドと同じだった。冬時間というのがあるそうです。 国際空港もありますが、日本からは大変不便で、空港はあるけれど、ハバロフスクからとかアンカレッジからとか入らなければならないのです。 |
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台風14号が日本を襲って大被害の様ですが、こちらの海もその余波を受けるとのことで、今日の出港を二時間ははやめることになったようです。今は素晴らしい晴天ですが、今夜の海は荒れると聞きました。 出港してしばらくすると美しい夕日が見られました。上部デッキに出てアバチャ湾口にたつ三姉妹岩などを見ました。 日が沈んだあと、細い月が雲にかかり、その上に金星が小さく光っていました。部屋のベランダからもカムチャッカ富士の夕日が美しく見られました。二時間の時差調整をして就床します。 |
9月8日 朝です。 | |
台風の余波を避けて船は航路を変更し、オホーツク海に深く入りこんで航行することになりました。千島列島を見られなくなって残念です。朝シュムシュ島とカムチャッカ半島との海峡を通過しました。まだ海は荒れて来ません。 シュムシュ島のコニーデ火山が美しく眺められます。また富士山です。この環太平洋火山帯の火山群はみな整った形をしていて、みな富士山の感じです。周辺に人も住んでいませんので、神々しい形に見えます。 「天地のわかれし時ゆ 神さびて高くとうとき・・・・」なんて、高等女学校一年生の時に暗記した(させられた)のを思い出します。 |
活火山一つあるだけの島 | |
シュムシュ島から三十キロの所に、火山活動で新しく出来た小さな島を見ながらオホーツク海に入りました。この島は活火山一つだけの島。噴火しているでしょう頂は雲に隠れて見えませんでしたけれども、千島火山帯は今も生きているという感慨を深くしました。 9月8日夕方になると船が揺れはじめ、夜中になり揺れがいよいよ激しくテーブルのものが落ちました。クローゼットの扉も中の物が動く度に開くので、鞄で押さえをして寝ました。揺りかごなんて言う悠長な感じはありませんが、クリル諸島から遠く離れてオホーツク海の真ん中あたりまで逃避した様子が海路図でわかります。揺れは大変な体験であった。 9月9日 今日が最後の航海日。朝はまだ揺れが激しく大変。ダンスをしながら歩くような有様で食事に行きました。午後までこの揺れが続くという放送がありましたが、遭難などと言うことはないので安心です。 |
9月9日 択捉島へ落日 | |
昼ご飯を終えて帰ると、ウルップ海峡を航行中でした。揺れはすっかり治まりました。 右舷の方に霞みながら択捉島が見えはじめ、島に沿って航海します。 やがて眩しい落日の時間になりました。 この島を古里として思う人々もいるのですね。 感慨深く夕日を眺めました。 |