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茫茫漫遊記 バルカン半島西部編



   
  
             
    スロベニア     スロベニア  クロアチア・モンテネグロ    クロアチア

 世界遺産プリトヴィッチェ  国立公園 水の辺に蛙が動かずいることもしみじみと見て旅をしている
彼方此方の瀧指さして立ち止まる草紅葉せる公園の道
柔らかき感触に足がよろこんで歩みゆく公園の古き木道

宗教また民族と言う切実のなくて長閑に魚群るる湖
ガイドの名はジョニーウォーカー雨傘を目印にせる大男
勢いゆく川の木橋手すりもなく太くもなくただに長かり
クーナと言う通貨を使い切る為に昼食の水の一瓶を買う
 草紅葉と名を知らぬ花
バター焼きのトラウト一尾食うべしと夫への葉書に小さく書き足す

夕かげる空に高く立つマリア像仰ぎ見れば響く聖堂の鐘

血の橋とう地名が残るザグレブに夕かげり来し光の穏しさ

ダンテの孫が働いていたと言うプレートを掲げて古き薬局がある
石の門のマリアに十字を切る人を敬虔と見つつ通り過ぎたり

ザグレブの守護神
ザンクト・ゲオルグ(セント・ジョージ)
日照雨ふる中世の街マロニエのつぶら実が落ちて道に弾めり

十日の旅終わる日の夕食はとらず眠るあわれにわれも老いたるものか

青い目の人形一体は抱きて連れ少し嵩張る帰国の荷物

時差に狂いし身をかこちつつ整理する手紙の中に訃報もまじる

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