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茫茫漫遊記 土耳古編

トロイからエフェソス コンヤからカッパドキア 再び
アンカラ イスタンブール
    

候鳥の憩い乱さずに湖岸をゆっくりと貨車は過ぎてゆきたり

祈り終えてモスクを出で来し人々に吾は明らかに疎外されいる
地球の歴史思えば短き一瞬を人は生き愛し憎むかあわれ


降誕祭の赤き花眩しく並ぶ店一郭を占めて紫の薔薇

イスラムの国の広場に降誕祭の赤き花明るく売る店並ぶ

土耳古珈琲苦しと飲めり苦きもの溜まりいる胸をまた騒がせて

土耳古料理の材料なりとう牛の胃袋白布のごとく積みて売らるる

牛の胃袋羊の足などつやつやと照らされてあり土耳古の市場


かすかに渋き石榴のジュースを飲みながら鬼子母の激しき愛を想えり

旅終わる夜の憂いを満たすもの色濃くて酸ゆき石榴のジュース

オリエント急行の終着駅の待合室昔を思わせる電灯を吊る

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