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短 歌  パリから英国へ編
オランダ
   英国
5月12日 アムステルダム


舷側に潮の流れを見るのみに霧深き海峡をひとつ過ぎたり


のびやかに自転車をこぐ人らいて水照り明るし運河の街は

街並みに穏やかな影をゆらしおり運河に沿える並木の若葉

込みあえるトラムのただ乗りを体験し小銭を掏られる体験もする
ただ乗りを教えてくれし青年にVサインしてトラムを降りる

不格好にバッグ抱きしめて歩むなり掏摸にあいたる日盛りの街


堪えきれず自らの耳を切り落とす物語となりしゴッホの絶望

描きたくて古く汚れし靴を描きし孤独のゴッホと旅の日に逢う

生まれ家を暗く小さく描き残し故郷を出でしとう若きゴッホは

美術館めぐり歩きし三万六千歩生温きジュースひといきに飲む

バス停の廻りに並ぶ土産物屋「コニチワ」と声かける店員おりぬ

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