茫茫漫遊記 修善寺・伊豆 紀行
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雪の降る秋田から、伊豆は暖かいはずだと言うことで丁度割引切符が使える時期だからと出かけることにした老人夫婦っでした。 ところが思い違いで、私達が東京地方へ雪と寒さを持参したということになりました。 JR東日本の割引切符は熱海までで、そのあと修禅寺までは「駿豆線」のお世話になり、割引はなしです。切符がゴチャゴチャしてしまって、見る度に確認している有様です。老化現象の甚だしさを実感しました。 |
修善寺の駅に着いて、タクシーを使います。修善寺温泉街は駅からタクシーで十分ぐらいかかりました。 予約してあった新井旅館は国指定の文化財となっている重要建造物です。 そのシンボルである六角形の塔ににた三階の展望室は、現在は修理中でした。 まず通された受付はフロントロビーではなく絢爛たる屏風がかざられ、お茶のサービスをいただくところ。 ほっとしてチェックインします。チェックインという言葉がふさわしくないような、クラシックな建物です。 |
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池の上を渡る廊下を通って至る客室棟はすべて木造瓦葺きです。 建物には杉が使われ、床の間や窓などの意匠は各部屋で異なる趣があるとのことです。 庭の木々も樹齢を重ねた老木ばかりです。 大きな百日紅が池の中島にあって、枝を広げていました。盛りの時はさぞかしと想像させられました。 |
かなり複雑な廊下を幾曲がりかして、花棟の二階が私達の部屋でした。 畳十六畳の広々とした部屋に、一間の床の間です。 この旅館の主人が、日本画家を志したことがあったとかで、その縁で、多くの画人が宿泊したそうです。 私達の泊まった部屋は、安田 靫彦が病気療養に滞在したところで、欄間や釘隠などが、彼の意匠によって造られたものだとか・・・・。 |
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お酒は熱燗を二本、私はビールを少しいただきました。今日のお料理は日本酒向きでした。 デザートは伊豆ブランドの苺「紅ほっぺ」とマンゴーのぜりーでした。 十時から朝まで、天平風呂が女性用になり、あやめ風呂が男性用になると言うことでしたが、朝になってから試すことにして、床に就きました。 窓の下の桂川から安らぎをささそうようなせせらぎが聞こえて来て揺れるような気分で休みました。 |