茫茫漫遊記 霜月神楽・保呂羽山・羽宇志別神社
           十 一 月 七 日         十 一 月 八 日



あべでぇやバヂヤ〜エ。横手の町にすみちけで
すみのすみ や〜エ。
やす炭ちけで あべや バヂ



深夜十二時になりました。

ここで中入りと言うことで、二時間ばかり神官と巫女達がお膳をいただいて一休みと言うことになります。

お膳が神前に並べられてお食事となります。見ている人々もそれぞれ持参の食べ物をいただいたり、お茶などを飲んだりして再開されるのを待ちます。

里宮のある八澤木部落の人々が、ここに伝わる唄を披露したり、米つきをして見せたりしてくれます。
唄はなんと全くの方言で、理解不能でした。

お膳のお下がりをいただき、漬け物がまわされたり、玉こんにゃくの煮付けがまわされたりして、見る人々もくつろいで中入りの時間を過ごします。





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中入りのあと、高位らしい神官が舞の始まることを告げました、長い二枚の板の打ち鳴らしは 五・三になっていました。

午前二時、丑の刻に舞うのが正式とされている山の神舞がはじまりました。

鳥兜、、脚絆、手おおい、顔おおいなどで装い、白い三十六童子、桂男の紙幟をもち、軽袗をつけ、手っ甲をすると言う装束をしています。そして四十五分もの間、休みなく勢いよく舞い続け、途中で餅を十二個撒いたりして、変化に富む舞でした。

十二と言う意味は、山の神は十二神なのだからと言うのでした。

この舞を見た観客の中から、自ずからにして拍手が湧いたのでした。

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http://youtu.be/EhXPDJAQzNQ
をクリックして見て下さい。

次いで神入舞。狩衣に赤いたすきを掛け、烏帽子を押さえる鉢巻きをしました。そして真剣を二振、勇壮に振り回しての舞。真剣なので危険もあるとのことでした。

真剣の重さは結構なものだと思いますが、激しく振り回して、 二間に二間の大きさの場所で、動き回っての所作は、見るだけで緊張してしまいました。

観客の中に、カナダから来たと言う男性がいて、何度のこの神楽を見に来たといいます。日本語の読み書きが出来るので尋ねたら、日本に三〇年近く住んでいて、カナダと日本と行き来して過ごしていると言います。名刺をいただいたのでみたら、カナダの大学の準教授で、アジア文化センターの所長という肩書きでした。そしてあちこちの神楽のことを話す知識が深いのには。驚きました。妻が日本人なのだと言いました。


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http://youtu.be/FS-oq4EBA_4
クリックして下さい

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例の通り、神官の一人が立って、湯加持という清めの儀式をおこなったあと、辺津神舞を巫女さんが舞います。

そのあと、湯加持が行われ、壱の釜湯立て式、湯加持、弐の釜湯立て式、湯加持、参の釜湯立て式、湯加持、の順で神楽が進みます。
湯立て神楽と言う形式なのだそうで、下の神々の座します釜の湯をもって、座を清め、また
加護を願うのだそうで、湯加持が重要な意味を持つのだそうです。






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http://youtu.be/5a0dUPgjQ2U
クリックしてみて下さい。

    

湯立て式までは、赤い被布をつけていた巫女が、白衣になって剣舞を舞います。この舞は山之神舞につぐ重要な舞だとされています。二人の巫女が刀を持って舞うと言う異色の神楽です。はじめは鞘をつけた刀、やがて抜き身にして舞います。舞い終わると今度は鈴をもって舞い納めました、
格別な意味を持っているのでしょうが、所作は大体似通っているような気がしました。巫女も神官も
慎み深く、笑うと言うことがありません。憑依の顔をしているとふと思わされました。


          






衣冠束帯の斎主が上段の神前で祝詞を奏上します。
奏上の間、神官達と巫女達は平伏します。
その後、高位の神官が立って三個の大きな幣束を押し頂き
神前の斎主の処へ運び奉納します。奉幣式と言うのでした。





神官が立って奉幣式舞を舞います。これでお神楽の重要な次第が終わりになります。

ついで、御供頂戴と言うことになり、、神官が三人神前に御供えしてあったくさぐさのものを切り分けて、式台にのせて、御神酒と一緒に神楽座の方に運び、神楽を奉納した神官と巫女達が頂戴するのでした。

  





全ての神楽行事がおわり、神送りということになります。
今まで祭事を進めていた神主が、神楽座にたちあがり、

「かみおくるこうざのやまのくもはれて
   のこらでゆけやいそのかみがみ」

と唱えながら、神前にあった白木の枡から白いもの(多分塩)をと唱えながら、三度ほど撒きました。
この文言ははっきりしませんでしたので、聞きとったままを記しましたが確かかどうかはわかりません。



今まで座を仕切って四方に張られていた注連縄を。

「しめきるやしめきるかたな
    さえがたな
   さいわいここにきれる
           こがたな」

と唱えながら切り落とします。

これで神の座と、一般の人々との区切りがなくなりました。

あとはお遊び。神官と巫女のお膳が出てそこへ恵比寿が出てきてお膳の魚をつりあげると言う、目出度さの演出がありました。





 

朝六時の里宮です。満天星が真っ赤でした
帰りは昨晩は見えなかった紅葉が盛りでした。

初めて霜月神楽を見に行った昨年は、道を間違えたのではないかと思うくらいでした。

この時季の午後七時と言うのは、真っ暗になっています。車がやっとすれ違える程度の山道をたどって行くのでした。

街灯なんかはありません。反射灯が車のライトで光だけの道です。
この道でいいのかしらと思いながら進んでいくと「霜月神楽」と書いた立て札がありました。そこからまた奥へ・・・・。
すると「霜月神楽駐車場」がありました。
そこから少し登ると提灯がついている会場の里宮でした。


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