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茫茫漫遊記 スペイン編

トレド。セゴビア・マドリッドから アルハンブラ経由 バルセロナへ
    

スペイン語はわかりませんの一言のみ使いなれつつ旅の日過ごす
高空の月を見ながらオレンジジジュース飲みてバレンシアに一夜を過ごす
はろばろと沖ゆく船ものぞまれるローマの遺跡にいまわれは立つ

宗教が戦の理由になることを言いつつ男は濃き眉をあぐ

夫と来し時もすわりし公園のベンチに坐り絵はがきを書く

直線の鋭さのなき聖堂は森に似て平穏の風とおりくる

未完成の大聖堂のステンドグラス光降らせているひとところ


手帳に押して十日の旅を共にして枯れ色となりしジャスミンの花

旅の夜を惜しむ心にフラメンコのダンサーは激しきステップ踏む

しわがれ声の歌と嘆かうギター聞きて一人の旅の夜は更けやすし
点滅する灯りの下にステップ踏み何を悲しむかフラメンコダンサー

眠るべしと自らに言いて目を閉じぬ機はシベリアの上を飛ぶ頃

月の夜空に白き雲曳きて飛びいるとわが機を想えば楽しきものか

グラナダより二週間経て届く葉書うすれゆく旅の余韻か響く

旅日記に圧して持ち来しジャスミンの微かなる香を今朝は惜しみつ

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