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幾たびも入場券をチェックされ歴史の澱みの中に入りゆく 風化せる石積みの上に薄目をあけてわれを見ている猫に怯みぬ 絵はがきと見ゆる風景の中にいて身じろぎもせぬ大き黒猫 差し交わす枝の葉陰に胡桃食む栗鼠も見て歩む庭の静かさ 後宮の庭にいくつか咲き残る紅濃き薔薇に寄りゆく心 咲き残る小さき薔薇の紅の濃し王女の恋は語りつがれて 遠き世より音のひそけく湧く泉知りてかなしき伝説いくつ 遠き日の戦に思い及ぶなり石榴の木下に聞く水の音 鮮血を洗い流せしとう話聞くひとところにじむ大理石の床 |
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ここに佇ちし美女幾たりの物語想いつつつゆく長き回廊
美しき庭に向く窓に寄りて聞く物語は過ぎて行く風音に似る 宮殿の影と空を映して森閑たりシェラネバダの水みたしたる池 |