トップページへ戻る
短歌一覧へ戻る
短 歌  ウイーン・東欧編
チェコ

市庁舎の仕掛け度時計
遠く来し旅の初めに見つつゆく教会の尖塔の陰に沈む日

見張りの塔、教会の塔と鐘の音黄昏のプラハには寡黙が似合う


「プラハの春」話題となしてそぞろ行く革命広場を朝霧流る


人形の様に動かぬ衛兵に守らせて王宮の門ののどかさ

カレル橋の聖人像に手を触れて祈る人の列にわれも連なる

音もなく湛えつつ行くモルダウに遠き戦さはすでに偲べず

秋づけるモルダウにはや渡り来し白鳥の居り静かに群れて

「変身」を書きしカフカに必然あり城壁の一隅の窓小さき部屋


世紀経て角とれし石畳の坂道になずみつつ行く王宮の丘

王城の聖堂に日曜のミありて大きドア閉ざせり異教徒われに

百塔の街より日曜のミサ告ぐる鐘あまた王城の丘に登り来

市庁舎の仕掛け時計の骸骨が砂時計倒して正午を告げぬ

チェスキークロムロフ

中央広場
掘り出せる地下の遺跡にレストランありて愛想良きマスターの居り
一言も解せぬチェコ語を音楽のごとしと聞きて古城を巡る

旅遠く来てみるテレビはチェコ語にてテロを憤る声荒あらし

ユダヤの星をドアに描きてユダヤ人が住む一区画古りて小暗し

スープに浮く香辛料は美味マヨランカと聞くばかりにて舌は喜ぶ

中世の街をやさしき音にゆくやがてドナウに注ぎ入る川

世界遺産の古き街中にひっそりとありエゴン・シーレ記念館

雨あとに訪いし小さく古き街ピラカンサ・七竈の赤がきらめく

[上へ戻る]

トップページへ戻る
短歌一覧へ戻る