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短 歌  オセアニア編
2月6日   シドニー・オペラハウス

夜の間に季うつろいて南半球の日ざしまぶしく機より降りたつ

不意に来る夏の終わりの雨見つつ朝食のサラダはりはりと食む

蛇のこころ鰐のこころに心重ねて踊るアボリジニを見つつ哀しむ


原住民の誇りを言いて踊るときアボリジニの目の光りするどし
海に映る雲の形を真似たとうオペラハウスの白く光る屋根

シドニーのセールの水着に中国製とうラベル見て思うああお前もか
人を恐れぬ様にむれつつカモメらは一定の距離を保つ哀しさ

敵国なりしこの国の戦争記念館に色あせし日本の軍服もあり



公園の芝生に啄む鴇のそばにわれの時間もゆるやかに過ぐ

メルボルン・キャプテン・クックの家

キャプテンクックの頃の地図など購いてわれは冒険に遠き旅する

池岸のベンチに座ればいつの間にか仲間の様に黒鳥が寄る

てのひらの餌に寄りながら警戒を解くことはなし野性の鳥は


胸の帆に風柔らかく孕みいる思いしながら海に向かいぬ

白ワインが好きと言うことを確認するそれだけで終わる試飲会あり
ボウル一杯運ばれて来しムール貝も話弾ませながら平らぐ

一年に何人かは鮫に殺られると食事のひまに事無げに言う

アボリジニの原色の絵は教会の壁に架けられ力を持てり


異国にいること確かめて試食する厚揚げ豆腐の不思議なサラダ

ワニの肉の唐揚げを美味く食べたりと大事のごとく日記に書けり

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