遠野駅発。古民家。 500羅漢。 |
オシラサマは養蚕の神だともされていますし、眼の神様だとかさまざまでした。。 先述の娘が馬の皮を持って桑の木でつくった櫂を操って海に出て死に、流れ着いたら、その亡骸からわき出したのが蚕だとか・・・。と言うのもありました。馬の顔をした虫と言うところが、蚕を暗示していますね。 その他にもいろいろと語られていて纏めていうことのできない譚があるところが面白いですね。 遠野地方では、眼の神様となったり、子供の神様となったりして祈祷して貰うような風習があったという記述もあり、民間伝承信仰の複雑な成り立ちを思わせられます。 |
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最後に立ち寄った「伝承園」というところに、「遠野物語」の伝承・民話を柳田国男に話して聞かせた 佐々木鏡石の記念館がありました。ほとんどがこの人の語ったものをそのまま記録したのが「遠野物語」なのでした。確かに「遠野物語」は短い伝承または民話を沢山の項目に分けて記述している形です。 「遠野物語」「遠野物語拾遺」を読めば素朴な人々の祈りと喜怒哀楽が伝わって来ます。 さて、ここで入ったのは茅葺きの古民家でした。目が慣れないと天井も板の間も黒くなっていますし、照明もあまりあかるくありませんので、足元注意に、頭上注意で入るのでした。 おしら様の部屋は、うす暗い廊下のようなところを過ぎた奥の方にありました。 うす暗く小さなその部屋の四面を覆い尽くすまでの圧倒的な「おしらさま」群でした。聞くと千体を越す数だと言うことでした。その妖しい雰囲気は言葉にできません。一人でこの部屋のいることになったら、恐怖を感じるでしょう。空気が淀んでいると言う感じがしました。
伝承は伝承ですけれど、一般には蚕の神、農業、馬の神とされています。桑の木で作った三十糎ほどの棒の先に人の顔や馬の顔を書いたり彫ったりしてあり、それに布きれで作った衣を多数かぶせて重ねて着せてありました。四角い布がおいてあり、いろいろな願い事を書いてかぶせるのだとかいうことでした。
書いてある願いの中には「司法試験に合格しますように」などと言うのもあり、祈りもいまや人間の本質的な祈りとは違って、現世利益を求め、すっかり現実的になってしまったなと思わされました。 この部屋をでますと、囲炉裏のある部屋で、語り部が伝承民話を語っていましたが、観光客の皆さんに解るように語りますので、本当の生の方言がなくなりつつあると、しみじみ思わせられる語り口でした。
これで、遠野一日紀行は ドントハレです。 |