ふるさと村。福泉寺。 カッパ淵。 伝承館。 |
春の苑紅にほふ桃の花 下照るみちにいでたつおとめ は万葉集の歌ですが、そんな感じのする日でした。緋桃、白桃。源平桃と盛り咲く遠野の盆地の風景はまことに長閑です。そこへ鶯がなき、林のあちこちには、眩しいばかりの山吹の花です。 さくらの季節は勿論素晴らしいと思いますが、新緑のこの季節は言いようもない空気です。 |
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五百羅漢像を幾所でも拝むことがありましたので、整えられているものと言う先入観がありました。ところがここの羅漢像は石に直接線彫りされたもので、私の先入観とは大変かけはなれていました。少し驚きました。。 それも谷間にごろごろと重なり合っていて、整然たる像ではないのでした。その切実さにかえって心を打たれます。 登るのも大変な山間にあります。傍に格別なお寺があるわけではありません。お供え物もお供えするところもありませんでした。 自然の石に線彫りされている羅漢像です。
この地方は宝暦・明和年間にあった度重なる凶作によって、大飢饉となり、多くの餓死者が出て、親が子を殺めるなど、幾多の悲惨な最期が伝えられているそうです。 その犠牲者の供養の為に大慈寺というお寺の19代の義山和尚が、読経をしながら2年がかりで刻んだものだと伝えられています。
よく見れば幼い子供と見えるお顔の像もあり、心に響きます。数えると400余あるということでした。 積み重なるようになって苔むしていますが、長い年月の間に、谷をずり落ちたままの形になっているのだとか。私もいつもとは違って今日は神妙な思いになり、合掌しました。 そこまで登る道には全く手をいれていないで、自然のままだと聞きました。このようにキチンと整理したりしないで、自然のままにしてあるのも、民俗学の故郷とされているこの遠野の町の考え方を反映しているのでしょう。 |