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短 歌  スイス・アルプス名峰編
フランス
スイス
8月21日  シャモニー・モンブラン

モンブランに真向かう筈の展望台八月半ばの雪積もりおり

モンブランはあの辺りぞと指す人と八月の雪に降られて立てり

雪玉を握りて遊びし掌にほのぼのとぬくしココアのカップ



雪山を下り来てはいるレストランの熱きスープに心をほぐす

霧晴れて一望の氷河千年の単位に流るるこの静寂は

神の微笑のごとき瞬時の晴れありて蒼きクレバス氷河に深し

氷海に穿つトンネルの蒼き壁冥界につづくごときしずかさ

遠く近く教会の鐘響きあう日暮れの早き谷間の町に


教会の鐘こだまする谷間に黄昏のときは長くとどまる

そぞろ来て入るレストラン氷河より流れ出で来し川の音する

シャモニー朝市

幾筋も飛行機雲の過ぎりおり朝晴れてまぶしきモンブランの上

七竈は朱実ゆたかにつけて居り夏の終わりの早きスイスは


もられいる苺のひとつ味を見てシャモニーの広場の朝市めぐる


朝市に自家製のチーズを切り分けて笑まう少女のバラ色の頬

写真とるわれに向かいて中年の肉屋は太き腕組みて見す

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