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短 歌 アメリカ編2
アメリカ2
8月16日   国連本部

ハンバーグとコーラが似合う雰囲気にのまれてわれはアメリカに居り

大リーグの野球帽と松井のTシャツを選びつつ孫の注文多し

始球式のボールがミットに納まって雨上がりの球場に歓声あがる
観客席を見下ろす雨上がりの球場の明かりは透き通るごときするどさ

ボディチェック受けて入りし国連ビル人ら皆穏やかに見える不思議さ

加盟国の国旗の中にすっきりと見ゆる日の丸にわが心よる

エンパイアステートビルの展望台に人を恐れぬ鳩あまたおり

羽の音はげしく頭上をめぐり跳び人を恐れぬ鳩を恐るる

皿を溢れる大き魚を分かち合うことも楽しく孫と旅する

ネオン明るき夜の窓ガラスに重なれば知らない人のようなわが顔

デザートの苺も食べてはや眠き孫の書きいる短き日記

  リバティ島・自由の女神

剔られし疵まだ深きグランド・ゼロ雨に濡れて廃材の十字架が立つ
グランド・ゼロの深き疵痕のぞき込むわが耳しばし音の絶えたり
長く黒きプレートに犠牲者の名を掲げグランド・ゼロの底知れぬ闇
人間とつかず離れず街中の公園に栗鼠は住みて太れり
偽物のブランド時計が公園の片隅でひそと売られていたり
大日本帝国と大きく描きあり米国の博物館のホールの壁画

アメリカの若く史実のひとつとして移民審査記録が展示されいる
自由の女神のトーチの上を過ぎながら長くたなびく雲の幾すじ
自由の女神を背景にして孫と撮る写真に風も写りておらん

ヤンキーズのキャップ被りし孫の頭撫でられて出国ゲートをくぐる

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