よ   も   ぎ  
     
 
 
 
    よ も ぎ・ さしも草 させも草            キク科の多年草  
 
これをさしも草と言うのだとは知らずにいました。幼い頃、百人一首を遊ぶとき、十八番と言うのがあり、必ず一番に取ることの出来る札がありましたが、亡き母の十八番が、藤原実方の
「かくとだにえやはいぶきのさしもぐさ 
         さしも知らじな燃ゆる思ひを」

でした。葉の裏につく細かい綿毛でもぐさをつくり
お灸に使うんだそうですね。なんとも激しい恋歌だと思っていたのでした。
と、思ったら、別の解釈で「させも草」は一切衆生・この世に生きるすべてを例えたものだとも言われています。そうして見るとこの一首も深い意味があるように見えて来るのですね。
葉は菊に似ています。    
香りがよくて、草餅となったり、団子になったりして私たちの口に入るのはこの若葉です。
ことさらに摘みに行かなくても道端にイッパイ生えているので、摘んできて天ぷらにすると、晩ご飯のおかずのアクセントになります。
蓬の宿だとか蓬の門だとか言うのは荒れた家のことを差すのだそうですし、蓬髪はみだれほつれた髪をいいます。
反面、蓬莱山は不老不死の理想郷ですから、どちらを取るべきでしょうね。