かなむぐら・やえむぐら
 
   クワ科のカナムグラで、下から出るのは、アカネ科のヤエムグラ。  
 
     
 
   
      む ぐ ら                      カナムグラ・クワ科。  ヤエムグラ・アカネ科

百人一首でおなじみの「やへむぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね あきは来にけり」恵慶法師 がありますので、これを詠んだ歌は沢山あるのかと思いましたが、万葉集時代以降、あまりよまれていません。近現代ではちょっと目につきませんでした。

とくにこの「むぐら」と言う言葉は蔓をもった雑草が生い茂る様を表現したものだとか言う説もありましたし、ヤエムグラは植物名のヤエムグラではないのではないかとか、カナムグラを言うのだとか、さまざまな説で困惑しました。

それで両方を載せることにしました。とにかくいわゆる雑草として捨てられる草ですから、あまり見向きもされず、花も見られるようなものではありません。


 
クワ科のカナムグラは荒れ果てた感じがします。葉や柄にある小さな下向きの棘で他の植物に絡みついて立ちます。でも茎や葉は食用にもなるそうです。

アカネ科のヤエムグラは茎が柔らかくて四角張っています。そして細い棘をもっていて、これもやはり他の植物にしがみついて立っています。
とにかくこの「むぐら」とついた草たちは、雑草としてうち捨てられるもののようです。

だから、短歌も見あたらないのでしょう。万葉集その他、古歌では、これが生えた家は、いやしい家、貧しい家と言う感じで使われています。

新しい歌は見つかりませんでしたから、特別に古い歌を今回は入れて置きます。「むぐら」の反対語は「玉」なんだそうです。