幼かったころ、この花が終わった後のふわふわした白い花托がのびたのを、まとめてのばして筆のようにして遊んだのを思い出します。
当時は珍しい花ではなく、野山に当たり前のように見られたものでした。今ではなかなか見つけることがむずかしくなりました。
私はもう何年も見たことがありませんでした。仙台の野草園でやっと巡り合いましたが、聞くところによると、静岡県などでは群生させているそうですね。
根は乾燥して、下痢や、腹痛、熱性痢病などの薬として用いる漢方薬にもなっているそうです。
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![](photo/okina2.JPG)
花がすっかり終わると
こんな風に白い毛が
まとまってつきます。
昔はこれで遊びました。
下からでるのは開き
切ったときの花です。 |
斎藤茂吉が好んだ植物として知られ、掲出の歌の他に も数首あります。中でも
「おきなぐさに唇ふれて帰りしが
あはれあはれいま思ひ出でつも」
と言う一首が有名です。
この場合、彼が詠った「おきなぐさ」は既に白髪のようにな った状態の翁草なのではないかと私は思ったのです。
花としては唇を触れたくなるような感じではないですし、 あの白髪の様になったものを、唇にして、筆の形にととの えたりして遊んだことと重なったのです。
でも、この歌を「妖艶な女性」と解釈しているのが普通で す。その方が面白いことですね。
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