む く げ ・ 木 槿
晩春から秋にかけて葉の付け根に一個ずつ花をつけ、一日でしぼんでしまいます。
万葉集の時代には、これが朝貌だったと言う説があります。朝貌は桔梗だったと言う説もあります。歌によって、桔梗が似合う内容のものもあり、木槿がふさわしい内容のものがあり、両方が適当につかわれたものでしょうか。
「和漢朗詠集」にはこれが「あさがお」となっています。白居易の詩で「槿花一日の栄」と言う句がありありますが、それはこの木槿だろうと言うことです。実際に今日のような図鑑があるわけでもありませんからわかりませんね。
私の友達の歌集に「白き木槿花」と言うのがあります。彼女は肺ガンで亡くなってしまいましたが、木槿の花を見ると、在りし日の事が思い出されます。白い木槿は芯まで白です。花にはすべて何か心に響くものがありますね。