私が結婚してこの家に来た頃、結構大きくなったマルメロの木がありました。花はいっぱいつけるのですが、何故かひとつも実のついたことがありませんでした。実家にもありましたが、そっちは幾つか実がついて、毎年母が砂糖煮にしていました。煮ているときにいい香りが家の中に漂って、何とも言えない幸福な気分になるのでした。子供達は大好きでしたが、貴重品みたいに瓶詰めにしてあり、お正月のお料理に添えたりして使い、なかなか食べさせて貰えませんでした。
硬いその実を砂糖煮にする前に、何日か部屋に置いておきますと、すてきな香が漂って、みんなが幸福な気分になりました。形はあまりよくないです。
家を改築するとき、実のつかないわが家のマルメロは処理されてしまいました。今はよその家の花を拝見しています。
秋田県にはマルメロの砂糖煮を特産品にしている森吉町と言う町があります。