くず
 
     
 
                      
 
     く ず ・ 葛 ・ く ぞ ・ ま く ず           マメ科の多年生草本

昔の話になります。これは馬糧として使われていました。馬を飼う人がいなくなり、今では這い育つに任せていますので、至る所に生育しています。

杉林では、葛が這い登って杉の生育を阻害するということで、毎年下草刈りをしたものですが、今では杉の需要も減り林を丁寧に管理する人もなくなり、葛も生うるがままになっているようです。

私の町では、小さな里山の裾野一帯にこれが這い回っています。花は葉群の中に隠れていてあまりよくみえませんが、こんな状態です。

葛の茎の繊維では葛布と言うものが織られて襖などに用いられたとありますが、今ではどうなのでしょうか。

 
繁り会った葛は土留めの役にも立つんだそうです。それよりも、葛と言えばなんと言っても「葛粉」ですね。肥大した根からは上質で高級澱粉がとれますし、風邪をひいたときに一般的に使われる漢方薬の「葛根湯」の主原料ともなります。

そんな風に思うと、繁り会って道のあちこちにまではびこって、困ったものだと思うのはいけませんね。

葛の葉は裏の方が白くて、秋になると風に翻ると白い裏が見えるからでしょうか。「裏見」と「恨み」を関連づけている古歌には多く見られるようです。例えば・・・・

「葛の葉のうらみにかへる夢の世を
          忘れがたみの野辺の秋風」
                    藤原俊成 女