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茫茫漫遊記 新潟紀行編


新潟紀行
                 

凪ぎながら暮れてゆきたる信濃川魚も眠るかこのしずかさは

信濃川河口に近き岸辺にて釣るは満ち潮にのりくるスズキ

音もなく鬱々と湛えて夜をゆく信濃川は街の灯りを映す

八十年をさ揺らぎもせざりし石の橋を渡りぬ一人の旅人として

見はるかす限りの稲田を波たてて風は楽しげに吹きすぎてゆく

「のっぺ」とう名前楽しき新潟の郷土料理に酒酌み交わす
ゆくりなく旅に来て逢う歌碑一つ葉かげの揺れる樹下にしずけし

さしかわす木々の影ゆれる庭園に山鳩啼けば歩を止めて聞く

豪農の贅を尽くせし邸宅は繁りあう大樹が影おくばかり

くらぐらと枝をひろげ葉をひろげおり豪農の家の庭の大藤

展望台より新潟の港を俯瞰せり日本海に沈む陽を想いつつ

晴れた日は佐渡島まで見えると聞き山住のわれはただに眼こらす

米の国は酒も美味しと夫は言い食事のたびに酒とつきあう

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