短 歌 台湾編
台北
二月
五日
雪の中の暮らしを逃るるごとく発つ三泊四日の台湾旅行
故宮博物館にゆるゆると過ごす一日に旅のわれらは満ち足りており
台湾に生まれ育ちしと言うガイド愛国を言わぬ屈折を抱く
混雑の夜市の道に商品を広げてしたたかなりこの国人は
人波に流されながら見てめぐる夜の市に夫は孫の手を買う
夜の市に集う人らの胃袋を満たすは得体の知れぬくさぐさ
ひらすらに現世利益を願う人ら明々と夜の寺院を照らす
日本語で声掛けて来し台湾の老人が過去を楽しげに言う
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