かたくり
ユリ科 多年草
堅香子は古名。葉は茹でておひたしにします。香りはなく柔らかですが美味とは思えません。
もののふの八十をとめらが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花
万葉集 四一四三大伴家持
はあまりにも有名。家持が越中に赴任していたときの
歌で、万葉集にかたくりはこの一首だけです。都のあたりには自生していないのかも知れません。大勢の乙女たちの賑やかで華やかな雰囲気から、ひっそりと咲いている堅香子に視点を移してゆくあたり、
家持の優れた表現です。
かたくり
隣村に「かたくりの里」として有名になったところがあります。この村の名産である大きな栗の林の下土に敷きつめたようにかたくりの花が咲くのです。
少し姿勢を低くしてのぞくと、紫色の風がみえます。茎が細くて震えるように揺れるのは恥じらう乙女の姿です。今ときでは不適当な形容かも知れませんね。
私の町は桜で有名なのですが、この地方を訪れる観光客は、桜の終わりかけた頃に咲きますので、名残りの桜を見た後でここを訪ねる人が多いのです。ポインターで下から出るのは,アルビノの片栗の花。とても珍しくて、この群生の中でも滅多に見られません。
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