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スッポン成敗物語

 スッポンを貰った時は大変でした。癌で余命幾ばくもないと告げられていた患者さんの妻が、弱ってゆく夫を看取っていたある日の事です。
「スッポンの生き血を呑めば精がつくと言うことで、貰いましたが、とても呑ませられる状態でないですし、いつ容態が変わって先生にご迷惑をかけるかも知れません。先生がお疲れにならないように、呑んで下さい。」
 と言うのでした。
 彼女の話によると、今まで何度かスッポンを調理したことがあったし、簡単だからと調理の仕方を教えてくれました。
持ってきてくれた人が、
 1・割り箸に、ネットをかぶせてかみつかせて首を伸ばすんです。
 2・伸びた首を俎板の上で、たたき落とでばいいんです。
 3・逆さにすると、首から血がタラタラ・・・と流れ出します。
 4・その血がもっとも勢力のつく大切なエキスなんです。
 と教えてくれました。その方のご主人に何度も飲ませたんだとか・・・。とてもとても一人で出来ることではありません。
まず、1 ですが、お手伝いさんの力を借りました。気味悪がったのですが、頑張って貰いました。首は伸びること伸びること、20糎近くのびたと思い出します。
 2 俎板の上にのばした首を引き延ばさせながら出刃包丁で目を瞑って力任せ、思いっきり叩ききりました。
手に伝わったその感触は、たとえば ゴムのタイヤを切るような感触でした。グニュっと手に伝わった感触は忘れられません。
 3 逆さにすると、血がタラタラ・・・。その通りでした。ウイスキーグラスにダブル程度溜まりました。
 4 それを姑、夫に勧めましたが、活力がつくとは言っても、誰も飲むとは言いません。
 夫などは「寄生虫がいるぞ」などと言って脅かします。勿論私ははじめからお断りです。 勿体ない話でしょうね。
 私はもう残虐行為をしたあとの興奮状態が残っていますが、どんなに勢いつけても飲む気にはなりませんでした。
 いつか誰かに飲ませようと冷凍しました。結局、みんなが権利放棄。
 さて、胴体の方ですが、元気イッパイで動きを止めません。そのまま蓋をして一夜を過ごしたのですが、甲羅をはがそうとすると、まだ脚がモゴモゴ動いて気味が悪いこと夥しい。
 スープにするんだから、そのままお湯で茹でようと言うことになりました。大きな鍋にお湯を沸かして、みんなを呼び集め、釜ゆでの刑・・・・。
 やっと触っても動かなくなった胴体を、どのように整理したかは忘れましたが身なんかほとんど無かったと思い起こされます。
 本当の調理の仕方を知りませんから、お恥ずかしい次第。これから教えていただいても、もう生きたスッポンを貰うことは無いでしょうからどうぞ教えないで下さい。
 私のメチャクチャ スッポン料理の恥をお話ししました。私の小さいころは、わが家の裏を流れる小川の梁にウナギがかかることがあり、私の父が上手にさばいたものでした。今では、考えられない事です。
 またまた、話が長くなりました。私のメールはスッポンの首みたいなものですね。

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